僕はコーヒーを自分で焼いて飲んでいる。
自家焙煎というやつだ。
コーヒー豆は乾燥させた生豆の状態では数年は保存できるが、いったん火が通ると酸化が始まる。
酸化することで、時間の経過とともに鮮度と味が損なわれていくのだ。
だから、よっぽどの事がないと焙煎してあるコーヒー豆を買う事はない。
買う場合も、日本国内で焙煎している店のものを買っている。
僕はコーヒー豆を焙煎する際、その行程で欠点豆を取り除く作業「ハンドピック」を3回行っている。
生豆を水洗いする前、水洗い後、焙煎後。この三つのタイミングで行う。
ハンドピックで取り除くのは、虫食い豆、カビているもの、生育不良豆、時には小石等の異物など。
雑味や腐敗臭の原因となるこれらを焙煎前に取り除くことで、豆の形と大きさが揃い均一に火が通る。
また、焙煎の際に欠けて一部分に強く焦げが生じてしまった豆も不快な苦みの元なので、これも取り除く。
取り除かれた欠点豆はそのまま捨てられる。
ただおいしいコーヒーを飲むために。
完璧を求めて焼かれた豆を抽出して淹れたコーヒーは甘く、そして苦い。
僕はコーヒーをブラックで飲む事を好む。
苦いからとミルクや砂糖を入れないとコーヒーを飲めないという人は、本当においしいコーヒーを飲んだ事がないのだろう。
ハンドピック中の僕は非情に徹している。
だけど、どこか罪悪感を・・・
その罪の意識が、コーヒーをより甘く、そして苦く感じさせる。