渋谷のCLUBクアトロに行って来ましたよ。
セルティック・フロストが生で観られる日が来るなんて・・・
Celtic Frostが始まる前、スタッフさんが旗を90度間違えて掲げていたので、とてもヒヤヒヤしましたが、セッティングが終わるころに、ようやく気がついて正しい向きに掲げ直してくれて一安心。
前座の二つのバンドはおとなしく観てましたが、Celtic Frostでは久しぶりに激しくヘッドバンギングをしたので、首が痛いです。しかし、心地よい痛み。
機材トラブルがあったりしたけど、全く問題ない。凄まじくダークで重厚な音が心地よかった。トム・ゲイブリエル・フィッシャーさんの真似をして「ウッ!」って言ってるお客さんが多くて笑えました。僕も何度か「ウッ!」やってしまいました。とても良いライヴだったけど、惜しむらくは時間が短過ぎだった。セルティック・フロスト単体で呼んでも良かったんじゃないかなぁ。
初めてこのバンドを聴いたのは、メタルゴッド・マサ伊藤こと、伊藤政則さんの「ROCK TODAY」というラジオ番組で、ある日のエンディングにホンのちょっとだけ流れた「Mexican Radio」という曲でした。
当時、僕は鹿児島県の指宿市という街に住んでいたので、週末の深夜は東京から届く微弱な電波を捕らえようと0.1ミリ単位でチューニングしつつ、中国や韓国の電波に邪魔されながらも必死でこの番組を聴いていたものでした。田舎に住んでいると有名なバンドのレコード、有名な音楽雑誌しか手に入らないのですから、本当にヘヴィ・メタルの情報に飢えていたのです。
その日、ひどい雑音交じりの中で聴いた「Mexican Radio」はとても不思議な感覚を僕に与えてくれました。確かに声が怖い。曲もなんだか不思議で凄い!これがあのスイス出身の悪魔的なヘヴィメタルバンドかあ。スイスと言えば、「アルプスの少女ハイジ」の平和で牧歌的なイメージしか思い浮かびません。それなのに、そんなところでサタニックなヘヴィメタルをやるなんて、こいつらは相当なワルに違いない。いや、ワルなんて生易しいものじゃない、本物の悪魔かも・・・少年の妄想は膨らみます。
記憶に間違いがなければ、セルティック・フロストの作品は国内盤で出ていなかった(あっても買う金がない)ので、数年後、東京に出てきてから、輸入盤の「Mexican Radio」が入っている3rdアルバム「INTO THE PANDEMONIUM」のLPレコードを中古で買いました。確か、新宿レコードだったかな?やっと手に入った♪メデタシメデタシ、と思いきや・・・
あれ・・・ ん・・・ こんなんだっけ?
針を落としてみると、全然速くないし、中途半端にポップじゃん、コーラスもショボイ・・・他の曲もなんだか・・・
そう、脳内でかなり勝手に補完していたので、本物との間にかなりギャップがあったのでした。もったいない事にそれっきり聴くのをやめてしまいました。もっとテンポが速く激しくて、悪魔的な音楽を想像していたので、ちょっと期待外れに聴こえてしまったのでした。
もちろん今ではこの曲の面白さは分かるようになりました。アルバム全体もアートワークも含めて、ダークでアヴァンギャルドな凄い作品です。その後、2nd「TO MEGA THERION」を買ってようやく期待どおりのブラックメタルっぷりに大満足でした。ジャケットもH.R.ギーガーの不気味な絵が背徳的だが実に素晴らしい。先にこっちを聴けば良かったな~
Celtic Frostに多くのバンドが影響を受けたというのも頷けます。
ゴシックメタルというジャンルを世に知らしめたParadise Lostはモロに「INTO THE PANDEMONIUM」の影響を受けてるね。特に2nd「GOTHIC」あたり。
さらに話は脱線するけど、「PANDEMONIUM」とは、17世紀の英国の詩人ジョン・ミルトンの書いた叙事詩「失楽園(Paradise Lost)」の中で堕天使Luciferが奈落で失意の堕天使達を叱咤鼓舞し築き上げた城、「万魔殿(ばんまでん)」の事。
大学の卒業論文はジョン・ミルトンの「失楽園」に出てくるルシファー(サタン)の英雄性をテーマに選んで書いたのですが、その時はセルティック・フロストの事はすっかり忘れていたので、全く気がつきませんでした。バンドのParadise Lostの存在も後から知ったのですが、こうして今この文章を書きながら思うことは、セルティック・フロストを聴いた事により僕の意識下に「万魔殿」が築かれ、「失楽園(Paradise Lost)」をテーマに卒論を書き上げ無事に卒業、バンドのParadise Lostも好きになった。
さらに、渡辺淳一先生の書いた小説「失楽園」も日経でリアルタイムに読んだ。
映画も観て、黒木瞳さんのファンになった。
ついでに、僕のバンドARDENにも「Paradise Lost」というタイトルの曲がある。
そうだ、これら全ての元を辿ると、伊藤政則氏のおかげだったわけだ。
Under The Influence of Masa-Ito.
恐るべしセーソクの法則。
そういう事だったのか!う~む。
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CELTIC FROST Videos
Celtic Frost – A Dying God Coming Into Human Flesh
http://www.youtube.com/watch?v=T31cG-RJCZU
Celtic Frost – Circle Of The Tyrants
http://www.youtube.com/watch?v=7c8yK5E5AIY
Celtic Frost – Into The Crypts Of Rays
http://www.youtube.com/watch?v=L5prpJMrWhs
Celtic Frost – Wine In My Hand (Third From The Sun)
http://www.youtube.com/watch?v=TbfsFPNUOs4
Celtic Frost – Jewel Throne
http://www.youtube.com/watch?v=Y37HRrdVzTk
Celtic Frost – Into The Crypt of Rays
http://www.youtube.com/watch?v=u7S7TosWqUU
TV番組らしい。インタビューの後にスタジオライヴ。
さて、何を話しているのでしょうか?
「僕たちこんな格好で悪魔的なヘヴィメタルやってるけど、根は真面目なんだよ♪」的な感じで青少年の悩みに答えるお兄さんでしょうか?
Interview with Celtic Frost
http://www.youtube.com/watch?v=P0nV05P-Acc
何やら妙にゴキゲンですなあ。
人生最大のモテ期が来